2014年2月12日水曜日
アメリカンハッスル 映画感想 ~万人受けはしないが、ハマる人にはハマる一級ドラマ~
ストーリー自体は比較的単純です。FBIが逮捕した詐欺師を利用(協力?)して、政治家の汚職事件を暴く、といった内容です。
こう書くと簡単なのですが、物語の展開がスピーディに進んで行くため、キャラクターの相関関係と名前であったり、政治家の賄賂絡みの内容など、理解しながら話に付いていくのは結構大変かも知れません。
上映時間は比較的長め(138分)であるものの、上述の通りスピーディーに物語が展開していくので、ダルい部分は全くない上に、アメリカらしいユーモアを交えた会話や演出は、充分に楽しませてくれます。
キャラクターはそれぞれ個性が引き立てられている上に、演者も素晴らしいと感じます。
あのバットマンと同一人物とは全く思えない出で立ちの役のクリスチャン・ベールを筆頭に、エロさ全開の不倫相手役のエイミー・アダムス、大きなヤマの検挙に力を注ぐ刑事役のブラッドリー・クーパー、精神的な病気持ち役のジェニファー・ローレンスなど、2014年アカデミー賞(主演男優、女優、助演男優賞、女優)にノミネートされるだけのことはあります。演者も重要ではあるものの、描かれるキャラクターの設定や、演者を引き立てる演出も大事であることを、この映画を観るとよく分かります。
と、ぽん的にはとても魅力の詰まった作品ではあったのですが、これが万人受けするかどうかと言えば、それは微妙な作品であるとも感じ、賛否の分かれやすい(むしろ否定的な意見が多そうな)作品だとも思います。
要はツボにハマれば面白い作品だと思います。
この作品と観て、雰囲気などに共通点を感じたのは「アメリカン・ビューティー」でしょうか。ユーモアであったり、作品の訴えたいものが映画を最後まで観ると分かってくるという点で共通点を感じました。
以下は若干物語に触れる内容です。
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この映画は終盤まで数々の嘘で塗り固められているように感じました。
詐欺師としてのクリスチャン・ベールは、プライベートでも愛情はないのに結婚生活を続けているし、クーパーは特に愛情もない婚約者と、母親と同居。
エイミー・アダムスはクーパーを騙すために、名前や出身地(言葉訛りまで)まで嘘を付いている始末。だれもが自分の人生のどこかで嘘を付いているのではないか、ということが描かれています。
ジェニファー・ローレンスについては、正直に生きている人物として描かれているようで、また、ジェレミー・レナー(汚職市長役)も、市を本当に良くすることに必死で、その気持ちは本当であることが分かります。
汚職事件についても、結局のところはクーパーが無理やり計画を立てて、それに市長、政治家がハメられた恰好となった訳で、これも結局は作られた事件(「嘘」の事件)と言えるのではないでしょうか。
物語中の「悪の根源は何も変わらないし、捕まえていない」と言った会話があったことからも、「嘘」で作り上げた事件では、何も解決はしないことを伝えたいのではないかと感じました。
そんな嘘だらけの物語でも、最後には「正直」な人生を見つけて、それぞれ進んでいくのが印象的です。(クーパーについては露頭に迷ったままですが)
クーパーの上司の兄貴の話については、クーパーが話を最後まで聞かずに、自分で答えを勝手に作っていたことと、今回の強引な汚職事件計画を立てたものの正しい答えは出なかったという、どちらも正しい答えを見つけることができずに露頭に迷うという、自らの姿を踏襲したものなのかなと解釈しました。
と、作品中で色々と感じたり想うところがあった作品であって、中々深みのある作品であると感じました。
アカデミー賞受賞の可能性は非常に高いのではないでしょうか。
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90点
2014年2月11日火曜日
ラッシュ~プライドと友情 映画感想 ~淡々と描かれるストーリーながら、熱いものが感じられる良作~
今回は映画レビューというか、感想を書きたいと思います。
作品は「ラッシュ ~プライドと友情」です。
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実話に基づくストーリーということで、主演二人(クリス・ヘムズワース=ジェームス・ハント)(ダニエル・ブリュール=ニキ・ラウダ)も実在の人物を演じています。
鑑賞後に二人の写真を調べてみましたが、よく似ているなぁと感じます。
ストーリーについては非常に分かりやすい内容ということもあり、時代背景や人物像を感じ取りながら、物語に入り込むことができます。
ジェームス・ハントは、レース前に緊張の為から必ず嘔吐したり、事故車両の映像などを通じて、当時のF1は、正に「命がけ」の競技だったということが伝わってきます。
スピード追求によるボディの軽量化によることで、安全性などは二の次だったことも感じ取れます。
また、レースに参戦するためには莫大な費用がかかり、運転技術だけあっても難しいという側面も、二人のそれぞれの行動が細かく描かれていることで、よく伝わってきます。
レースシーンは非常にリアルに描かれており、映像と共にサウンド(エンジン音など)を通じても、F1の「異次元の世界観」を感じることができます
実話に基いて描いているためでしょうか、比較的淡々とストーリーは展開していくため、熱いものは感じられるものの、観ていて感情の起伏はあまりありませんでした。
そのため、感動するというよりは「いい話だなぁ」といった感じでしょうか。
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映画タイトルでは「プライドと友情」というサブタイトルが付けられていますが、この二人の関係は友情ともちょっと違って、ライバル、憧れの存在だったのかなと感じます。
主人公二人は、相反する性格ということもあって、自分とは異なる考え方などが憧れの対象だったように思います。
この映画を観て誤解がありそうな点としては「F1は命がけのレース」という点でしょうか。
当時は勿論そうだったことは間違いありませんが、現在は安全性が非常に高くなっているようです。
レーサーの事故死に至っては、1994年のアイルトン・セナ以降は発生していないようです。この辺りはストーリーの軸からはズレるものの、フォローが欲しかった気もします。
という訳で、当時のF1の世界の臨場感や背景などを、ドキュメンタリー的に楽しめる映画であると感じました。
ぽんはF1の世界には全くの知識なしですが、それでも非常に分かりやすい内容で、最後まで楽しむことができました。
未知の世界を分かりやすく描、くというテクニックはロン・ハワード監督の手腕なのかなとも思いました。
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80点
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