2013年6月9日日曜日

日産デイズ ハイウェイスターX試乗レビュー

日産デイズが発売されましたね。

日産、日産エッセンスを軽に凝縮した新型「デイズ」「デイズ ハイウェイスター」
日産、三菱自動車と英知を結集して作り上げた新型軽自動車「デイズ」発表会

デイズは日産と三菱の合併会社による第一弾の軽自動車です。
生産は三菱の工場で行われているので、三菱のOEMとも言えると思います。

ちなみに、三菱の同モデルである「eKワゴン」はこちらです↓
三菱自動車、3つの“e(いい)”を具現化する新型「eKワゴン」「eKカスタム」

これまで日産はモコやルークスなど、スズキのOEMの軽自動車を販売していましたが、今後は三菱との共同モデルで攻勢をかけていくものと思われ、今回のデイズでもマーケティングやCMなどからも、日産の本気度が伺えるように思います。

今回は日産デイズ ハイウェイスターの試乗レビュー、評価についてまとめたいと思います。


外観について

日産デイズハイウェイスターX リア日産デイズハイウェイスターX フロント






試乗したのは「ハイウェイスターX」というグレードです。色はホワイトパールのオプションカラーのものでした。
オプションカラーということで、21000円の有料のカラーですが、近くで見てみても、それほどパール感は強いものではなくホワイトに近いような色味であるように思いました。

フロントフェイスは「ハイウェイスター」では日産に共通するフェイスが取り入れられているようで、セレナのミニサイズ版のような印象も受けました。「デイズ」よりも「ハイウェイスター」の方が「日産」的な印象が強いですね。


タイヤについて
タイヤサイズは「155/65R14 75S」ので、銘柄はブリジストンの「エコピア EP150」というもので、アルミホイールを履いています。
日産デイズハイウェイスターX タイヤ

ちなみに、試乗したディーラーには展示車として「デイズX」がありましたが、こちらはスチールホイールですが、タイヤサイズ、銘柄は全く同じものでした。


アイドリング音について
アイドリング時の音も車外から聞いても、車内から聞いてもそれ程大きな音ではなく、そこそこ静かである印象を受けました。


運転席・内装・シートについて
運転席に座って、ドライビングポジションの調整です。シートはダイヤル式の高さ調整も備えていました。ステアリングについてはチルトステアリングで、上下調整だけ行えます。
テレスコピック(前後調整)は備えてありませんでした。

カタログを見る限り、テレスコピックは全グレードで非搭載のようです。
チルトステアリングはグレードによって有無があるようです。ハイウェイスターは全てのグレードで、「デイズ」ではXのみの装備のようです。

内装はブラックカラーですが、質感としてはプラスチック感の印象が強く、それ程いいものではないため、内装重視の人からみると、微妙かもしれません。
しかしながら軽自動車として見れば充分頑張っているものとも感じられるものであり、コンパクトカーの中間グレードくらいの質感は確保しているのかなとも思います。
日産デイズハイウェイスターX 内装1


ステアリングは本皮巻ということもあり、中々の好印象です。ステアリングは常に握っているものですから、触り心地なんかも大事な要素になるように思います。

シートについては、柔らかすぎずで適度な感じな印象でした。手で押してみると柔らかい感じもするのですが、座ってみると低反発のような感じで、結構しっくりくるものでした。
ホールド性についてはあまりよくなさそうですが、街乗りで乗る限りでは不満に思うことはなさそうでした。
運転中のシートの感じも悪くない印象した。中距離くらいの運転ではあまり疲れを感じずに運転できそうな感じで好印象でした。

サイドブレーキはフット式です。
気になったのが、運転席の足元部分、左足を置く部分のスペースがやや狭いことです。運転中は気にはならなかったのですが、乗り込む時に「ん?なんか狭い気が」と思いました。


エアコン操作部について
それと、エアコン操作部分はタッチパネル式のものでした。
物理的なボタンは一切ないので、ボタンを押す手応えはまったくないかわりに、「ピッ」という音で教えてくれるようです。物理的なボタンがないため、操作する時は必ず目をそちらに動かす必要がある上に、操作位置がかなり下の方になるため、目線をかなり下にしないといけないことになります。
運転中に操作する可能性も考えると、一瞬の目線の移動とはいえ、若干怖い気もしました。


走行中の印象について
走りだしてまず感じたのはステアリングの軽さです。出だしの時は随分軽い印象を受けました。
けれども、アクセルペダルについてはスカスカではなく、やや手応えの感じられるものでした。本当に「やや」ではあるのですが、アクセル操作のしやすさを感じられる印象でした。


加速関連
アクセルペダルを踏み込んでいっても、加速は鈍いです。結構踏み込んでも加速は鈍く、車体が重いのではないかという錯覚すら覚えます。スピードにのるまでに時間がかかる印象でした。
現在乗っているキャロル(HB25S)・アルト(HA25S)も加速は鈍いですが、それとあまり変わらないような加速の鈍さでした。
スズキの現在のワゴンRなんかと比べても、加速については劣る印象を受けました。
スピードに乗ってしまえば、それ程アクセルペダルを踏んでいなくても大丈夫な感じはありました。
加速については、燃費を考えたCVTとのセッティングの影響なのかなと感じます。

加速自体についてはいまいちでしたが、加速する際のエンジン音についてはそれ程うるさい印象は受けませんでした。キャロルなんかですと、加速する際に「グワァァンン」と耳障りなエンジン音が唸るのですが、デイズハイウェイスターではそのような印象はありませんでした。
「あれ、あまりエンジン音は聞こえないなぁ」と感じました。エアコンがONだったこともあるかも知れませんが、それでも静粛性はそこそこあるように感じました。あくまで一般的な軽自動車と比較した場合ではありますが。
それと、エンジン音は耳障りな感じもありませんでした。音がそもそもそれ程気にならないレベルであることと、発する音自体も不快な周波数?ではないのかもしれません。


ブレーキ関連
ブレーキペダルについては、ペダルの位置がやや高い位置にあるような印象がありました。
足のかかとを支点にして、ペダルに足をかけた時の角度がやや大きくなるような感じでしょうか。本当に「やや」ではあるのですが、そんな印象がありました。
ブレーキペダルの効き具合や踏んだ時のフィーリングは、軽自動車としては中々よく出来ている印象がありました。踏み込んだ時の遊びは少なめで、ブレーキの効き始めからはっきりした手応えが感じられます。また、ブレーキペダル自体もやや重めで、コントロールしやすい手応えと重さである印象です。これはデイズで一番よかった部分かも知れません。

またブレーキをかけて停止する際に、「カックン」となることはありませんでした。雑にコントロールすると「カックン」となることはありますが、ちょっと気を使って操作すればスーっと綺麗に停まってくれます。
キャロルではどんなに頑張っても停止寸前に「カックン」となってしまうのですが、デイズハイウェイスターではそういった問題はコントロール次第で発生しません。


アイドリングストップ機能
アイドリングストップについては、インジケーターの下の方に「A」というランプがあって、それが点灯している時は「アイドリングストップできる状態」という意味だそうです。
「A」が点灯している状態だと、車が停止する前(カタログによると13km以下)にアイドリングストップします。
エンジン再始動はブレーキを緩めるか、ステアリングを少しでも動かすと再始動します。再始動自体はすぐにしてくれるので、特に問題はなさそうです。
エンジン再始動時のエンジン音についても、やはり静粛性は中々のもので、コンパクトカークラスの静音性はあると思いました。


ステアリングフィール
ステアリングの軽さは、動き始めでは軽すぎるくらい軽いですが、40kmを超えてくると軽かった印象が薄れてきます。
速度によってフィーリングを変えてあるのかも知れませんが、そこそこの手応えを感じることができ、インフォメーションも適度にあるので中々の好印象です。
60kmくらいしか試せませんでしたが、それ以上の速度でも高速安定性も中々ありそうな期待感がありました。
中速以上でのステアリングのフィーリングは中々のものです。

減速して交差点を左折する時にステアリングを切った時は、やっぱりステアリングは軽かったです。
中速以上のステアリングフィーリングはいいのですが、低速での印象はいまいちな感じがします。


乗り心地
走行中の乗り心地については、意外に細かい振動まで伝えてくるような印象がありました。
同乗者から見ると、やや不快感を覚える場面もあるかも知れません。
ですが、ぽんが乗ってみる限りでは特に不快な感じはなく、乗り味自体は中々である印象でした。


謎のCVT制御について
左折してから、アクセルペダルを踏み込んだ時の挙動に違和感がありました。そう、キャロル(アルト)と同じ違和感ある挙動を感じました。
どんな挙動かというと「キックダウンしたような加速感とエンジン音の唸り」です。
キックダウンした時のような急な加速感がややあります。そのため、身体が前後するピッチングもある感じです。
キャロルと比べるとその挙動変化は少ないのですが、挙動そのものは全く同じものでした。
キャロルでは「CVTの副変速機とエンジンとのバランスの問題かなぁ」と思っていたのですが、デイズでもそのバランスが上手くいっていないのでしょうか。
デイズのカタログを見るとCVTは「副変速機付き」とあります。
CVTの製造メーカーを調べてみると、キャロル(アルト)と同じ「ジャトコ」製で、品番も同じのようです。


うーむ、このCVTはどうなのだろうか・・・。加速が鈍いのもこのCVTの影響が大きいような気がします。


後部座席とトランクスペースについて
後部座席は前後にスライドできて、トランクを広くしたり助手席の足元を広くしたり、用途によって調整ができます。
トランクの広さはこんな感じです。
日産デイズハイウェイスターX トランク1
後部座席スペース最優先時のトランクスペース

日産デイズハイウェイスターX トランク2
トランク最優先時のトランクスペース

















後部座席スペースを最優先にした時のトランクスペースは「狭い」です。最初トランクを開けた時はこの状態だったので「せ、狭い・・・」と思ってしまいました。
その後に後部座席を前後にスライドできることを聞かされ、トランクスペース最優先にしてもらいましたが、広くはないように思いました。

トランクスペースを広くすれば、その分後部座席のスペースに影響が出てきますので、そちらの写真はこんな感じです。

日産デイズハイウェイスターX 後部座席1
後部座席スペース最優先時
日産デイズハイウェイスターX 後部座席2
トランクスペース最優先時

後部座席スペース最優先にした時の後部座席スペースは、「とても広い」です。
高級セダンとかに匹敵、それ以上の広さではないでしょうか。広いです。
トランクスペース最優先時はどうでしょうか。こちらは「広くはないが、最低限のスペースは確保」しており、窮屈さはあるものの充分許容範囲のスペースはあるように思いました。

また、後部座席には2段階くらいのリクライニング機能がついていました。リクライニングなしだと、ほぼ垂直くらいになってしまうので、疲れそうな印象でしたが、1段回、2段階と調整できるので、2段回目は結構ゆったりになりそうでした。
また、後部座席のシートもしっかり作られている印象でしたので、長時間でもそこそこ快適に座れそうでした。


アラウンドビューモニターについて
デイズ、デイズハイウェイスターの目玉とも言える機能が「アラウンドビューモニター」ではないでしょうか。
日産DAYZ情報その2 インテリア装備に注目
バックする際に、ルームミラーに車を上から見下ろした映像を擬似的に映しだしてくれます。
カメラは全部で4つあるそうで、「リア、左右のサイドミラー下部、フロント」それらの映像を元に映し出しているそうです。
「軽自動車でここまでいるのか」と言えば、それまでですが、車庫入れが苦手にドライバーにはかなり重宝されそうな装備です。
ルームミラーだけでなく、ディーラーオプションのナビを取り付ければ、ナビのモニターにも、その映像を映し出すことは可能だそうです(ナビのグレードによるそうですが)
妻も「これは凄い!」とビックリしていました(^_^;)

アラウンドビューモニターは、ハイウェイスターでは「G」、「Gターボ」に標準装備、「X」はメーカーオプションだそうです。
デイズでは「X」に標準装備だそうです。


燃費については調査できず
試乗ということであり、燃費については確認できませんでした。
カタログ燃費が29.2kmであることを考えると、少なく見積もっても20km以上の実燃費は期待できるのではないでしょうか。

だいたいこんなところでしょうか。


その他について
試乗車を探す時に、ハイウェイスターG ターボを探していたのですが、このグレードはまた発売されておらず、8月以降になるようなことを話していました。

また、値引きについては3万円くらいでした。
まだ発売したばかりであるため、メーカーからの指示もあるでしょうし、値引きに期待することは難しいでしょう。

N-ONEを試乗した時は、ディーラーの盛況ぶりに驚愕し、今回のデイズも発表されたばかりだから、さぞ大盛況なのかなと思っていたのですが・・・お客さんがぽつぽつだったのがやや心配です。


日産デイズ、デイズハイウェイスターまとめ
この軽自動車の企画は日産の関与が大きく、開発自体は三菱メインで行われたものと思われます。

こちらは合併会社を設立してはいるものの、何となく86とBRZの関係に似ているような気もしました。

三菱は、過去の不祥事で未だに一般の人の持が持っているイメージの挽回は出来ていないように思いますが、車自体は以前から真面目な造りをしていると思っています。

その車設計、開発の真面目さは今回の「デイズ」でも感じられたように思います。
とにかく堅実な車であり、軽自動車を超える軽自動車?であるような気すらします。
走行に関する部分はフィーリングも含めてしっかり作られているので、安全に運転が出来るように思います。
そこに「運転する面白さ」までは感じられないと思いますが、安心感のある運転ができることは間違いないと思います。

その堅実すぎる設計であるために、突出したセールスポイントなんかがないのが難点と言えるかも知れません。


試乗まとめ
さて、デイズハイウェイスターを試乗した後に、改めて考えてみるとやっぱり全体的に「地味」であるように思います。
先進安全技術がある訳でもなく、大きな積載能力があるわけでもなく、スペック的にも普通で終わってしまっており、売り部分は少ないように思います。
デイズに関しては、軽自動車初の「アラウンドビューモニター」搭載で、かろうじて注目点があるように思います。
とは言うものの、車自体は基本はしっかり押さえられて造られているの印象なので、「走る、止まる、曲がる」という車の基本的部分については充分なレベルに仕上がっているように思いました。

あとは、日産というブランドと、本気具合は感じられるので、マーケティングについても期待できるのではないでしょうか。

ホンダの「N」シリーズと同様に、今後は「デイズルークス」と派生車種が増えてくるようですので、そうなってくると、軽自動車の勢力図にも変化が出てきそうな予感がしますね。

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