2014年3月15日土曜日

オールイズロスト 映画感想 ~臨場感あるサバイバル映画~

オールイズロスト ロバート・レッドフォード

映画:オールイズロストを観てきましたので、その感想というかレビューです。

採点:75点(万人受けはせず)
  ※この映画は正直言って賛否が別れ、むしろ好まない人の方が多いと思われる作品です。

一人でヨットで航海している時に発生したトラブルにより、海上で遭難してしまうというストーリーで、本当にその内容だけに的を絞り、主人公の行動を事細かく描写した映画と言えます。

主演はロバート・レッドフォードです。
ロバート・レッドフォードの完全な一人芝居の映画です。

船が浸水、嵐にヨットの転覆など、数々の「見せ場」とも言えるシーンはあるものの、そこに過剰な演出はなく、見ている方も切望の淵に立たされているような錯覚すら覚えます。

また、上記の通り主人公の作業を事細かく描く部分に臨場感があります。
その描写には言葉や解説は一切ないため、ロバート・レッドフォードの「動き」だけで何をしているのかを追っていく必要があります。
その描写は本当に些細なものまであります。例えば最初の方のシーンで衝突したコンテナをヨットからどかすために使ったロープを、少し考えてから取りに行くシーン。
「後々何があるか分からないし、あとでまた使うかも知れない」という、トラブル後から今後の不安感とその回避策を考える、人間の心理がよく描写されている場面だと思います。

映画ではほとんどが海水の上とヨットの中、そして救命ボートの中の映像ですが、時折穏やかな晴天のシーンや、海水の中から、海に浮かぶ船と魚が泳いでいる映像が挿入されます。そこには海の持っている壮大さや美しさが感じられます。
その一方で、船の下で泳いでいた魚達を食べようとするサメらしき姿も描かれ、自然界の弱肉強食が表現されています。
その弱肉強食の世界が、主人公を襲う海(自然)の怖さと重なり、容易には生き残れないことを表現しているかのようです。

この映画では、人間が極限状態に陥った時、生き残るためにどうあがいていくのか、という点を描くことに「全て」が注がれています。
主人公の人物の内面が伺えるのも、冒頭の手紙の内容くらいです。
それ以外は主人公がどんな人物で、どんな人柄なのかは一切分かりません。要するにそれらは、この映画の中では「どうでもいい」のです。

生きる事を諦めてはいけないこと、命の尊さと希望を感じさせてくれるエンディング。
そしてスタッフロール。
スタッフロールの「CAST」には、ロバート・レッドフォード一人の名前のみ。そして彼の役名は「Our Man」。
そう、彼の役には名前すら存在しなかったことに気付かされます。
生死に関わる場面では、細かいことはどうでもよくなり、もはや名前すらもどうでもよくなってしまうのだ・・・。スタッフロールにまで「生き残るための苛酷さ」の仕掛けがなされていたようで、愕然としました。

この映画、全編通じて「サバイバル」に徹したことで、映画とは思えないような臨場感が出ていたように思います。


0 件のコメント:

コメントを投稿