2014年10月6日月曜日

マツダ 4代目新型デミオ13Sガソリン(6AT) 試乗レビュー(DJ3FS)

デミオDJ3FS ディープクリスタルブルーマイカ

デミオの4代目となる新型が発表、発売されました。
Carwatch:マツダ、コンパクトカーのクラス概念を打破する新型「デミオ」発表会

1.5リッターディーゼルモデルは10月23日に発売ですが、1.3リッターのガソリンモデルは9月26日に発売され、近所のディーラーでも試乗車がありましたので、早速試乗させてもらいました。
今回は4代目新型デミオ 13S(6AT)の試乗レビューというか、試乗感想についてまとめたいと思います。
※試乗した時は、雨が降っていたため、「音」に関する印象については晴天時のものと異なる可能性があります。
2014/12/9追記
ディーゼルモデルの試乗レビューも掲載しましたので、ご参考下さい。
マツダ 4代目 新型デミオXD Touring(ディーゼル) 6AT試乗レビュー


試乗車のグレード
試乗させてもらったグレードは「13S」です。
※オプションとして、「LEDコンフォートパッケージ」「スポーティパッケージ」が装着されていました。

タイヤ
タイヤはヨコハマタイヤの「BluEarth-A」を装着していました。
タイヤサイズは「185/65R15 88S」サイズでした。
ヨコハマタイヤの「BluEarth-A」が新型「マツダ デミオ」に新車装着
ちなみに、ホイールは4穴タイプでした。


ドライビングポジション・運転席周りなど
エンジン始動はプッシュスタートボタンです。ステアリングの右側にあります。
シートについては、ごくごく普通な感じです。それほど硬さもなく柔らかくもなく、本当に普通な感じです。
シートのホールド感もあまりない印象です。
営業さんによると、シートのサイズはアクセラのシートと全く同じだそうなのですが、サイズは同じでも座った時の印象は非常に異なる感じがしました。

シートは前後調整と高さ調整ができます。運転席に座って高さを一番低くしてみると、思った程低い位置になりません。アクセラでは「低い」ポジションが取れたのですが、新型デミオでは「低い」印象はなく、「気持ち高めかも」といった印象で、これは先代デミオよりも低いポジションが取れないようにも感じました。

ステアリングはテレスコピック調整と、チルト調整が可能です。
シートの高さを一番低い位置にして、ステアリングのチルト調整で一番低い位置にしても、ステアリングがやや「高い」位置になってしまい、しっくりくる位置まで下げることが出来ず、やや違和感を感じました。
この辺りはシートの高さを調整したりしてポジションを合わせるしかないのですが、そうなるとシートを高くしないといけないし、ベストなポジションを取るのが若干難しい印象を受けました。
うーむ、これまでのマツダ車らしくない印象です。


各種フィーリング
※断りがない限りは「ノーマル」モードでのフィーリングです。

アクセル
アクセルペダルはオルガン式です。内装類はアクセラなどと共通部品が多いそうで、このペダルも共通なのかなぁという印象です。
アクセル自体は適度な反力があります。軽すぎということはありません。

加速感
アクセルを少し踏んだだけで、結構なトルク感と共に、クルマが動き出します。
街乗りでの「ストップアンドゴー」の多い場面では、非常に楽に運転できるのではないでしょうか。

出だしの力強いトルク感と加速力とは裏腹に40km以上くらいからの伸びがあまりよくありません。
低速のトルクを重視した分、その後の速度域でややトルクが弱まる部分があるのでしょうか。
出だしの加速力のままのスピードアップを期待すると「おや?」と思うかも知れません。

ですが、アクセルを半分以上踏み込めば、若干のタイムラグの後にキックダウンしたようになり、「加速モード」になります。
こうなるとしっかり加速してくれますが、エンジン音もそれなりに聞こえてきます。
この時はエンジン回転数が4000rpmくらいまで回る場面もありました。
また、その時はアクセルペダルまでエンジンの振動が伝わってくる印象がありました。

通常走行時は、全体的に変速タイミングを遅らせて「やや引っ張る」セッティングにすることによって、トルク感を出している印象を受けました。(ただ、中速域ではそれも及ばない感じなのでしょうか)

アクセル操作との一体感
前述の通り、出だしの力強さを重視する感じがある上に、中速域でトルクが抜ける感じがあるので、アクセル操作に対するリニアな加速感といったものは感じられず、ややバランスが悪い気もしました。
このため、オルガン式ペダルは操作はし易いものの、リニアな加速フィーリングではないため、細かな微調整などを行う場面が少なく、やや大味な操作感になる印象もあり、オルガン式ペダルの恩恵が少ないようにも思いました。

ブレーキ
ブレーキについては、やや固めのフィーリングで、先代デミオスポルト(DE5FS)と較べても中々良い印象を受けました。
強く踏み込めばそれなりのストローク量もありますが、ブレーキのコントロールで使用するストローク量はそれほどでもなく、やや少なめのストローク量の中で調整する感じでしょうか。
また、30km~40kmくらいからのブレーキでは若干「カックン」気味になる傾向がありました。
ですが、それよりも低速からのブレーキではそういった印象はありませんでした。

ミッション
ミッションは6ATです。アクセラ、アテンザと同様のSKYACTIV-DRIVEです(セッティングなどは違うかも知れませんが)
マニュアルモードも搭載されており、シフトレバーによる操作が可能です。
シフトを「D」の位置から右側に倒すとマニュアルモードになります。
そこからシフトを手前に倒すとシフトアップ、奥に倒すとシフトダウンです。
これは従来のマツダ車と同様の操作方法ですね。

シフト操作に対する変速の応答性については、アテンザやアクセラと同様に、あまり良くなくて、シフト操作からワンテンポ以上遅れてから変速される印象です。使用する場面は限られそうです。
ただ、変速ショックなどは極めて少ないなぁという印象を受けました。
それと、シフトダウン操作をしてもブリッピングはしません。

ステアリング
ステアリングの重さについては普通な感じでしょうか。軽いと感じる場面はありませんでした。
30km以上の速度になると、中立付近からのステアリングの操作に対して「重み」が感じられます。。これは高速安定性を意識したセッティングなのかも知れません。
確かに「真っ直ぐ走る」ことに対しては、その「重み」もあって非常に安心感があったようにも思います。
ステアリングの中立付近の遊びは「やや多め」でしょうか。
また、カーブではステアリングの操舵量がやや多めになる印象を受けました。
ステアリングインフォメーションについては全体的に薄味です。これもアテンザ、アクセラに似たフィーリングでした。
カーブでやや速めの速度で曲がろうとすると、もともと薄味のインフォメーションが更に「抜けてしまう」ような場面がありました。

カーブでのロール量は比較的抑えられたセッティングのようです。この辺りで「一体感」を演出している感じなのでしょうか。

ステアリング操作については、クイック感はなく、至って穏やかな操作感とフィーリングといった感じでしょうか。けれどもロール量は抑え気味となっていて、カーブでも安心感を与えてくれる感じはします。
ワインディングについては、想像になりますが穏やかに走る中での安心感とゆとりが得られる感じのような気がします。なので、ワインディングをグイグイ走るセッティングとは違うようです。
これはアテンザ以降のマツダ車で共通して感じるところでもあります。

エンジン
エンジンについては、上述の通りの「低速トルク重視」な印象です。
若干気になったのが、出だしの加速時のエンジン音が、ガソリンエンジンなのに少し「ガラガラ音」っぽく聞こえた点です。これは決して心地良い音ではなかったです。
また、エンジン回転数が上がっていった時の音についても、スポーティな音と言うよりも、「ちょっと耳障り」かなぁという、やや甲高い音のように思いました。

SPORTモード
シフトレバーの手前に、上下に動かす小さなスイッチ(レバー)があって、これを奥側に倒すと「SPORT」モードになります。このモードはガソリンモデルのみの装備とのことで、通常より低いギアが設定され、力強い走りが行えるそうです。
実際試してみましたが、「SPORT」モードにするとエンジン回転数も上がって、全体的にトルク感のある走りになって、いい加速をしてくれるようになります。
ただ、その分エンジンブレーキも常時かかったような状態にもなるので、使用場面については、坂道だったり高速道路の合流、追い越し車線に入るときなどに限られるのではないでしょうか。

ちなみに、「SPORT」モードにしても、ギアとエンジン回転数の変化のみで、ステアリングの重さなどには変化はないように感じました。

遮音性・乗り心地
アイドリング時や、低回転での走行中は、車内はそこそこ静かな印象で、ここは先代以上の遮音性を確保しているように思います。
ただ、エンジン回転が高くなると上述したような印象です。
ロードノイズについては、試乗中は雨が降っていたため確認できませんでした。

乗り心地については、65扁平のタイヤの影響もあるのか、よく造られているように思います。
段差による振動の抑え方もコンパクトカーらしからぬ上質さが感じられ、大したものだなぁと感じました。

内装・車内の印象
内装は、コンパクトカークラスとしてはとても好印象であり、パッと見た時の質感も高く感じられます。
実際は触ってみるとプラスチック製のところもあるのですが、そこはうまくカモフラージュしているなぁと感じました。

後部座席に座った時に見える内装の質感についても、同様に良い印象です。
なんでこんなこと書くのかと言うと、フォード・フィエスタを試乗した際に、前席で感じる内装の印象(こちらは中々良い)と、後部座席で感じる内装の印象(かなり安っぽく感じる)が全く違ったためであり、その辺りの確認のような感じです。

アシストグリップについては、助手席だけに装備されており、後部座席には買い物袋を引っ掛けるような「フック」が装備されていました。

車内の広さについては先代デミオとほとんど変わらない印象です。
後部座席に座った時の印象についても同様です。
営業さんの話では、後部座席に乗り込む際の頭上の間口がやや広くなったそうで、入り込む際に頭をぶつけるような場面はないでしょうとのことでした。

トランクについては、先代デミオよりも若干奥行きが増した感じを受けました。コンパクトカーにしては「広く」感じました。
後部座席を倒した時には、座席部分は出っ張った形となってフラットにはなりません。
トランク内のランプについては、向かって左側(助手席側)にあって、スイッチによる手動式のものでした。この辺りは先代デミオと変わりません。

内装については、よくよく見たり、考えてみるとアクセラと良く似ている印象もあります。
ステアリングやメーター類などは共通とのことですし、その他にも共通部品は多く使われていることも、そのような印象を受ける要因かも知れません。

燃費
燃費については、走行距離は「5.6km」くらいで、燃費計表示で「12.3km」くらいでした。
ちょっと踏み込んだり、元気に走ったりしているため、通常走る時よりもやや低めの数字になっているかと思います。

納期
納期については、ガソリンモデルが1ヶ月半から2ヶ月程度だそうです。
ディーゼルモデルについては年末に納車できるかどうか、といった状況だそうです。
※2014年10月5日現在。

値引き
値引きについては「気持ち程度」だそうです。
ここは発売したばかりということもあり、そう期待はできなさそうです。
その分、下取りなどで頑張ってもらうしかなさそうです。

4WDについて
新型デミオの4WDについてはCX-5と同様のシステムを導入しているそうで、これまでのe-4WDとは全く違うしっかりしたシステムだそうです。
4輪の動きをリアルタイムにチェックして、その場面に合わせた制御をしてくれるそうで、営業さんは「かなりお薦め」だそうです。

新型デミオ ガソリンモデルまとめ
さて、4代目となった新型デミオ。
印象としては、アテンザ以降のマツダの考える「人馬一体」や「運転の楽しさ」といったものを感じられるであろうフィーリングやセッティングを踏襲した造りである印象が強いです。
このマツダの考える部分が、先代デミオ時代とは大分違うものになっていると感じられ、それは実際に乗ってみて、各種フィーリング部分で「違い」となって感じられるように思いました。

個人的意見になりますが、このアテンザ以降のマツダの考えるクルマ造りに対して、そのフィーリングがあまり「運転の楽しさ」を感じられないのが正直なところです。
この辺りは、実際にクルマを購入して走りこんでいくと、また印象が変わってくるのかも知れませんが、数10分程度の試乗や、マツダが行っている1日試乗においても、個人的には運転の楽しさなどをあまり感じることが出来ていない状況です。

ただ、「価格面」が優先されてしまいがちなコンパクトカーにして、これだけの内装であったり、走りの質にこだわって造られたクルマは画期的です。

また安全装備についても、「横滑り防止装置」はもちろん、「スマート・シティ・ブレーキ・サポート」(13S以上のグレード)、「サイドカーテンエアバッグ」(13S以上のグレード)なども標準装備としている点は好感が持てます。
デザインと共に、欧州車的な走り、各種装備、質感を形にしたものであり、今後の同クラスの国産車への影響も少なからずあるのではないでしょうか。
3代目から4代目のデミオのFMCには、実に7年を経て発売された訳ですが、そのやや長いとも言える期間の中には、マツダの本気さが伺えるようにも感じられます。

2 件のコメント:

  1. 詳細な試乗記をありがとうございました。
    昔マツダ車に乗っていたこともあり、個人的にちょっと気になっていただけに、大変参考になりました。

    返信削除
    返信
    1. コメントありがとうございます。先代デミオには以前乗っていたこともあって、気になる車種の1つな感じです。
      ディーゼルモデルも気になるところです。

      削除