2015年6月8日月曜日

スズキ 3代目新型ラパンX(HE33S) 試乗レビュー

スズキのラパンが3代目にフルモデルチェンジしました。
スズキ、120kgの軽量化とエネチャージ採用などで最高35.6km/Lの新型「アルト ラパン」
3代目ラパン コフレピンクパールメタリック

別件でスズキのディーラーに行く用事があったため、ついでに試乗させてもらいました。
今回は新型ラパン(HE33S)の試乗レビューというか、試乗感想についてまとめたいと思います。

試乗車のグレード
グレードは「X」でした。ラパンの最上級グレードになります。

タイヤ
タイヤはダンロップの「エナセーブ EC300」でした。
タイヤサイズは「155/65/R14」です。
ですが、ブリヂストンのECOPIAがラパンの新車装着タイヤというニュースリリースがあります。
「ECOPIA」がスズキ株式会社の新型「アルト ラパン」に新車装着
なんでエナセーブだったのかは謎です・・。

運転席周り
シート
シート内装は「X」グレードだと「ベージュ」「キャメル」「ブラウン」から選べるようです。試乗車は「ベージュ」でした。
シートの素材は、部屋にあるソファのような印象です。硬さについては「新しく買ったソファ」のような硬さのある感じでしょうか。
柔らかすぎることはないので、しっかりしたドライビングポジションを維持してくれると思いますし、疲れにくいとも感じます。
ホールド性はあまりありませんが、後述しますが運転中のロールは意外と抑えられているので、身体がブレるような場面はなかったです。

ドライビングポジション
シート調整は前後と高さが調整できます。
ステアリングはチルト調整のみありました。
これらの調整は廉価グレードの「G」にも標準装備されているのは好印象です。

ドア
運転席に座ってドアを閉める時に、3回くらい半ドアになりました(^_^;)
これは、車内の密閉性がしっかりしているのかなぁと感じました。
試乗が終わって、クルマから降りてドアを閉める時も半ドアになりました(^_^;)

各種フィーリング
ステアリング
ステアリングを握ると、径が細い印象を受けます。これはやはり女性を意識してるための造りなのかなと感じます。触り心地については本革巻きであり、さらっとしたものです。
運転中のステアリングの印象については、中立付近はかなり緩いというか、ゆったりした応答を示します。
走行中、中立付近でステアリングを左右に振るように操作しても、クルマの応答はゆったりしたものですし、左右へのクルマの動きもあまりありません。そのくらい緩いセッティングです。
また、ステアリングは最近のスズキ車と比較しても「軽め」と思いました。

カーブでの印象については、上述の通りに中立付近は緩いので、若干早い速度で曲がろうとすると、操舵量が大きめになってしまうかたちとなります。
交差点などで、若干速い速度で曲がろうとすると、ステアリングを切った時は緩く曲がりますが、曲がり切った後に今度はクルマが曲がりすぎるので、急いでステアリングを戻す、といった操作感になります。
ですが、どちらも普通に運転していれば全く問題はないものなのなので、気にする部分ではありません。
セッティング自体が「街乗り」を多分に意識したものなんだと思います。

また、ステアリング等からのインフォメーションについては、薄味と言えます。

こういったフィーリングにも関わらず、意外にもロール量はそれ程大きなものではなく、しっかりした足回りであると感じました。
また、走行中の乗りは心地などはそこそこにゴツゴツ感はあるものの、全体的に腰のあるサスペンションなのか、軽自動車というよりも、「コンパクトカークラス」とも言えるものに仕上がっていると感じました。
また、ボディ自体もしっかりしているのだろうと感じます。

アクセル・加速感
アクセルペダルは軽いです。出だしの加速については力不足は全く感じませんし、少し踏むだけでしっかりと動きだして加速してくれます。CVTの違和感も全くありません。
出だしだけでなく、その後のスピードの乗り方もごく自然な仕上がりになっています。

アクセルを大きく踏み込むと0.5テンポくらい遅れて、キックダウンしたようにエンジン回転数が上がって加速していきます。この時、身体には前後のピッチングを感じますが、その後の加速も中々のものでした。
出だしや、加速時はエネチャージのアシストもあるかとは思いますが、正直ターボがなくても充分だなぁと思わせてくれるものでした。

エンジン音については、アクセルを強く踏んだ時の音については軽自動車らしい豪快な音ではあるのですが、それでも8代目アルトと比べても、遮音性が高いように感じました。
アイドリング時や、普通に走行している時に、軽自動車ではよく聞こえるハズの「ガラガラ音」も全然気にならなかった印象です。

交差点
交差点を例えば左に曲がり、曲がった後にアクセルを踏んで加速する時には、エンジン回転数、CVTのギア比の調整に違和感が若干あります。
これは7代目アルト(HA25S)のCVTの時から感じる部分なのですが、ラパンについてはこの違和感は大分なくなってきています(が、まだ若干残っています)。
正直、慣れればなんてことはないと思います。

ブレーキ
ブレーキについては初動の効きは緩めです。
ストローク量によってコントロールするかたちかと思います。

他社の軽自動車や一般的な国産車に乗り慣れてると、同じ感覚でブレーキ踏むと、「ブレーキの効きが悪い」と思うかも知れませんが、ストローク量はそこそこある上に、踏み込んで行けば制動力も強くなる仕上がりにはなっています。
(ただ、ブレーキペダルを8、9割くらい踏んだ辺りから、それまでの制動力よりも、若干急に強めになる印象もややあります)

スペーシアでも、同じようにブレーキの踏み込み量によってコントロールする方向性だった印象がありますが、そこについては「効かな過ぎ」ともとれる印象があったのですが、ラパンではその辺りがいいかたちで改善されているように感じました。

このようなセッティングにすることで、細かな調整を意識して行えますし、結果的には「クルマを自分でコントロールする」という意識にも繋がるとも感じます。
個人的には好印象ですし、今後もこの方向性は変えないで欲しいものです。

内装
内装については、全体的にナチュラルカラーを採用しており、自宅にいるかのような「落ち着き」を感じさせてくれるものになっている印象です。
インパネ部分では白木目調のデザインがあり、自宅にあるテーブルのような感じがあります。
こういった何気ない部分でも、何となく「安心感」のようなものを得られるのが不思議なものです。

室内からみた天井(ルーフ)のデザインがまた洒落ています。
布団でよくあるような、ひし形の縫い目の模様というのでしょうか、そういったデザインになっていて、ちょっと柔らかそうな感じを受けます。
(実際に触ってみると、他の軽自動車と同じような硬めの触り心地ではあるのですが)

アシストグリップは運転席以外の3ヶ所に装備されています。

内装の質感などは、素材については樹脂素材のものが多様されており、決して高い素材を使っている訳ではないのですが、デザイン性を重視し、その部分で「柔らかさ」や「安らぎ」を演出しているような印象です。

後部座席・フロアマット・トランク
試乗車にはフロアマットが一応敷かれていましたが、後部座席に座った時に、フロアマットに足を置いた時の印象が結構硬めな感じでした。
フロアマットが安いグレードのものだったのかは分かりませんが。

後部座席の広さは充分な広さです。後部座席のシートの前後調整は恐らく出来なさそうだったので、トランクの広さの調整も出来ないものかとは思いますが、トランクについても、室内空間とのバランスを考えても、そこそこの広さは確保されていました。

平均燃費
試乗コースは極めて短くて、距離としても非常に短いものでしたが、燃費計は「12.3km」でした。
エアコンは常時オンの状態で走っていました。
(最近は、どのメーカーでも試乗コースが短いものが多いので、この中で色々感じ取るのに苦労しています(^_^;))

新型ラパンまとめ
新型ラパンですが、やはり「女性のため」のクルマであるなぁというのが、ステアリングの操作感であったり、内装、デザインなど至るところで感じられるものでした。

エクステリアデザインも「可愛らしさ」や「愛着の湧く」ようなものであり、この方向性から女性がクルマに興味を持つというのもアリだなぁと感じます。
そのアプローチから、「クルマが好き」という人もいるでしょうし、「クルマに乗っているのが好き」「このクルマを運転するのが好き」という人も出てくるのではないでしょうか。

「女性らしさ」「女性から好まれそう」な部分に重点を置いているものの、クルマの基本部分がしっかり造られているのが、最近のスズキの大した部分だと感じます。
ラパンについては、サスペンション、足回りなどにも妥協点は感じられませんし、乗り味もコンパクトカークラスと感じました。
更に、他のフィーリング部分でも、これまでの車種を通じて改良されたものが、キチンとラパンに投入されていると感じます。
この辺りのスズキの真面目なクルマ造りは非常に評価できるものだと感じます。

男が乗ったらどんな感じなのでしょうか・・・。それはそれで充分ありですし、クルマのしっかりした造りについてはとても満足できるものだと思います。
個人的にも、この新型ラパンは非常に好印象なものでした。

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