2016年1月3日日曜日

スズキ アルトワークス(HA36S) 5MT 2WD・4WD試乗レビュー

アルトワークス試乗5MT パールホワイト

スズキからアルトワークスが発売されました。
東京モーターショーで参考出展されていましたが、個人的には「まさか発売されるとはなぁ」と感じていました。

早速試乗してきましたので、今回はアルトワークスの試乗レビューというか、試乗感想についてまとめたいと思います。
試乗したのは5MTの2WDと4WD仕様の2つですが、ほぼ共通の印象だったのでまとめて書いた上で、違いを感じた点は、補足として書きたいと思います。

タイヤ
タイヤはブリヂストンのPOTENZA RE050Aで、タイヤサイズは「165/55R15 75V」です。
ここはアルトターボRSや、スイフトスポーツ(ZC32S)とも同じ銘柄になります。

運転席周り
シート
運転席と助手席のシートは、標準でレカロシートになっています。
なんでも、レカロの「SR-7」という型番のシートをポン付けしたものだそうで、特に「ワークス専用設計」とかではないようです。

座ってみると、ポジションが「結構高め」になります。シートリフターは装備されていないため、この高さで我慢するしかありません。
これは、ターボRSよりも高いなぁ、という印象を受けました。
スイフトスポーツで、シートの高さを比較すると、「ZC31S>アルトワークス>ZC32S」の順番でしょうか。だいぶ分かりにくいと思いますが(^_^;)

運転席のシートの触り心地はそこまで硬くはないもので、適度な柔らかさが感じられる造りになっています。

背もたれの調整は、シート左側の少し奥側にあるダイヤルで調整するタイプです。ダイヤル式なので微調整が可能です。

ステアリング
ステアリングの径は「ターボRS」と同様に、結構細く感じられます。恐らくターボRSと共通のステアリングだと思います。
ステアリング調整は、チルトステアリングのみ装備され、テレスコピック機能はありません。

ドライビングポジションについては、座った時の高さが高いこと、シートがレカロシート、ステアリングにテレスコピック機能がないなどの「クセ」があるため、自分に合ったポジションが取れるかどうかは、しっかり確認した方がいいクルマだと感じます。

エンジン・エンジン音
エンジン音については、かなり「ガラガラ」と音が聞こえてきます。ディーゼルエンジンのような「ガラガラ」といったガサツな音です。それはアイドリング中でも良く聞こえますし、回転数を上げた時はかなり「豪快な音」になります。
ベース車のアルトでもかなり豪快な音だった訳ですが、ここは基本的には同じような音ですし、スポーティーな音ではなく、スポーティーさを演出している点も全くないように感じました。
遮音性もほとんどなく、ダイレクトに聞こえてくる軽エンジンの音、という印象です。

トルクについては、低回転からかなり力強いものになっており、それが高回転までしっかり維持されている印象です。
最近のスズキのターボ車共通で感じられる「トルクが非常に太いNAのような」エンジンです。

各種フィーリング
ステアリング
ステアリングは、走り始めなどはかなり軽いです。ただ、街乗り速度以上になると、中々良い重さになってくるような印象です。
ステアリングの応答性は、適度なクイック感があります。また、カーブ中のステアリングの手応えや重さと言った点もとても良い仕上がりであると感じました。
ただ、インフォメーション自体はやや薄味であるように感じられました。

カーブでのロール感は、身体にはロールしている感じがあまり伝わってこないかたちになっています。(それでも車体はしっかりロールしています)

(2WDと4WDの違い)
ここで両者の違いを感じたのですが、やや速い速度でのカーブでは、4WDの方がリアの接地感がしっかりしており、4輪でしっかり曲がっていく印象があり、その分安定感がありました。
重さのバランスが2WDよりも良いのでしょうか。
2WDが悪いわけではなくて、4WDの印象がすこぶる良い、という感じでした。

アクセル・加速
アクセルペダルの重さは至って標準的というか、軽めです。ペダルは吊り下げ式です。
5MTのギア比は、ファイナルギアこそ共通ですが、1~5速はAGSと異なって専用のギア比になっています。
(AGSのギア比は、ターボRSとワークスで同じです)

とにかく加速が物凄く良い印象を受けました。とにかく60~80kmくらいまではあっという間に出てしまう印象でした。やはり車重が軽いということも、大きく影響を与えている印象です。
印象としてはS660、コペンよりもかなり加速が良く感じられました。

ローギアなので、あっという間に7000回転くらいまで回ってしまうのも印象的です。
高回転まで回し、シフトアップ時にアクセルペダルを離した後、その時の回転が落ちてくる速度も遅すぎずに適度なものになっており、スムーズに次のギアに繋げられる印象がありました。
MTを好んで運転する人には、かなり楽しいギア比と加速性能になっているのではないでしょうか。

シフト
シフトノブの長さは至って標準的な長さなのですが、その操作感はとても良いです。
操作時は、かなりショートストローク(操作する幅が非常に少ない)になっており、また、節度感がかなりしっかりしています。
「スコスコ」というよりも「カチ、カチ」としっかりシフトを入れる感じですが、ショートストロークであるため、操作がとても自然に行える上に、楽しく感じられました。

ブレーキ
ブレーキのフィーリングは中々のものでした。かっちりまではいきませんが、あいまいな部分がなくて、しっかりした踏みごたえがあり、非常に扱いやすく、コントロールしやすいものに仕上がっている印象を受けました。

クラッチ
クラッチは軽めな印象でした。

2WDと4WDの違い)
クラッチが繋がるタイミングで、若干違いを感じました。
クラッチを奥まで踏み込んだ状態を「10」、離した状態を「0」とすると、2WDでは「6」くらいで繋がりますが、4WDでは「4」くらいで繋がる印象でした。2WDの方がクラッチを戻し始めてから、やや早いタイミングから繋がり始める印象でした。

乗り心地
乗り心地については、お世辞にも「良い」とは言えない印象でした。
細かい凸凹がある道路では、ハネたものが中々収まらない感じを受けました。
また、全体的に細かい凸凹を拾いやすく、どうも「ゴトゴト」と揺れてる感じが残りますし、割りと不快感のある上下の動きをする感じです。ただ、タイヤがそこまで低扁平ではない(55)ためか、大きな段差ではそこまで強いショックは伝わってこず、若干マイルドになったかたちで伝わってきます。

それと、細かい振動などは、運転席ではシートを通じてはそれ程伝わってこない印象もありました。
が、どうも身体全体が上下に揺さぶられているような感じはありました。

基本的にサスペンションはかなり硬いものになっているものの、タイヤがそこまで低扁平ではない部分で、突き上げ感を抑えている印象を受けます。

回転数
回転数は、60kmで、2200回転くらい、80kmで3200回転くらいです(5速時)

燃費
加速感を試したりもした中で、平均燃費計では「14.4km」でした(2WDも4WDも同じでした)。
エアコンは利用していません。

ミッションオイル
ミッションオイルはターボRSとは異なる、専用のミッションオイルを使っているそうです。(銘柄は不明です(^_^;))

価格
価格帯については、ディーラーの人も「高い」と感じているようです。
ターボRSが割りと安く設定されていましたが、アルトワークスは装備などを考えても「ちょっと高い」印象のようです。

アルトワークスまとめ
個人的にはまさか発売するとは思っていなかったアルトワークス。
それは「アルトターボRS」の試乗で、スズキの今後の方向性を感じたためだった部分が強かったのですが、これは経営レベルでの何らかの方針転換でもあったのではないでしょうか。
または、他メーカーが最近スポーツカーを頑張っているというクルマ業界の背景もあるのかも知れません。
価格がリーズナブルな「スポーツカー」は、販売する上でもそれなりのリスキーな点があるのではないかとも感じるのですが、色々な難題を乗り越えて発売に辿り着いたような印象も受けました。

個人的には、このようなクルマが発売されることはとても嬉しいことだと感じていますし、今後のスズキにも期待してしまいます。

クルマ自体は、ややマイルドな「ターボRS」、結構カリカリな「ワークス」という位置づけになると感じます。
が、正直ターボRSの存在感がかなーり薄くなってしまう気もしてしまいます。
どうもターボRSとワークスが分かれてしまったのにも、何らかの背景があったのかも知れません。

クルマ自体は特にMT好きな人をターゲットにしている感の強いもので、そのニーズにしっかり応えてくれるものに仕上がっているのではないでしょうか。
まさかこの時代に、こういったクルマが150万円から手に入るとは・・・。
とても楽しく試乗できたクルマだと感じました(^^)


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