今回はフォードのフィエスタ 1.0エコブーストに試乗をさせてもらいましたので、今回はその試乗レビューというか、試乗感想についてまとめたいと思います。
タイヤ
タイヤサイズは195/45R16です。
タイヤ銘柄はハンコックの「VENTUS S1 evo」という銘柄でした。
この銘柄は位置づけ的にはスポーツ寄りのタイヤとのことでした。
運転席まわり・ドライビングポジション
シートについては、正直あまり記憶がありません。
それだけ印象が薄かったのか、特徴がなかったのかも知れません。
ただ、シートの形状がやや大きめに作られているのか、すっぽり入るというよりはただ座っている感があり、ホールド感はあまりよくなさそうな感じはありました。
シートポジションは一番下にしても「低い」印象はなく、やや高めな視点だったように思います。
シートの背もたれの調整はダイヤル式での調整です。レバー式と違って、調整の段がなくてわずかな調整からできるので、適正な位置に調整することができます。
また、ダイヤル式だと強度が上がるようで、万が一の時でもしっかりと支えてくれるそうです。
ステアリングはテレスコピック、チルト機能も装備されています。
鍵はキーレスエントリーで、エンジンスタートボタンはステアリングの左側にあります。
ブレーキを押しながら、ボタンを押すとエンジンがかかるのですが、このボタン、軽く押すと「アクセサリー」になるようで、エンジンをかけるには奥までしっかり押す必要がある2段階?のボタンのようです。
ステアリング周り
ステアリング位置は右で、ウィンカーレバーはが左にあるという、輸入車の一般的な造りになっています。
ただブレーキのマスターバックの位置は右ハンドル用に作り替えられているそうで、ウィンカー以外は全て右ハンドル用の構造をしているそうです。
ステアリングは本革になっており、触り心地などは良好です。ちょうど握るあたりが若干太めになっているので、握った感覚も良好でした。
各種フィーリングなど
ステアリングフィーリング
ステアリングについては「やや重め」な印象です。雑誌などでは「軽い」と書かれているレビューもあり、個人的にはそこが懸念事項でしたが、実際には軽いということはなくて、中々しっかり感の得られる重さがあります。
ステアリング操作は、そのしっかり感のあるフィーリングはそのままに、とても自然に曲がってくれます。
やや早めの速度でカーブを曲がると、ロール感は結構ありますが、柔らかすぎず硬すぎずのバランスを持っっている印象はあります。
ちなみに、後部座席に乗って試乗もしましたが、カーブでは身体が結構揺さぶられました(^_^;)
ステアリングインフォメーションは適度に感じられ、全体的には中々の好印象です。
アクセルフィーリング
アクセルペダルは吊り下げ式で、操作感は軽めな感じでごく普通な印象でした。
ブレーキフィーリング
ブレーキについては、感触は中々カッチリというか、硬めな印象があり、ストローク量はやや浅めでしょうか。カックンブレーキになることもなく、中々良好なフィーリングでした。
加速など
1.0エコブーストの加速性能ですが、これはかなりの力強さがあります。
1400回転くらいからターボがかかり、そのまま1400回転から最大トルクを発生するため、普通に走りだしただけで、最大のトルク感が感じられるのだと思います。
スペックは分からないものの、0-60km加速などはとても速そうな印象です。
アクセルを踏んで、その力強いトルクを感じながら、どんどん加速していきますが、3500回転を超える辺りから、低回転で感じられた、力強いトルクはなくなり、速度も中々伸びていきません。低回転での印象からすると、やや拍子抜けする感じはあるかも知れません。
なので、エンジンを引っ張った時の気持ちよさは全くなくて、とにかく低回転が命、といったセッティングのようです。
高速道路で追い越しする時なんかは、思ったより加速しない、なんてことはあるのかも知れないなぁという印象を受けました。
シフト操作とマニュアルモード
クラッチは6速のDSGです。通常走行時はシフトショックなどはなく、非常にスムーズに加速してくれます。
マニュアルモードも装備されていて、シフトレバーを「S」にすると操作できます。シフトアップ、シフトダウンの操作はシフトレバーの横にある、小さな「+」と「-」のボタンで操作しますが、これはいただけないです。
操作した時の応答性は非常に悪く、2テンポくらい遅れてから変速される印象があります。
パドルシフトも装備されておらず、変速操作はこのボタンでの操作のみということもあり、「これは使わないなぁ」と感じてしまいました。
ただ、パドルシフトやシフトレバーを前後に操作する形式を導入しない理由があるようで、これは海外でパドルシフト、シフトレバー操作をしようとした時に、誤って他の操作を(ウインカー操作やシフトレバーを「N」にするなど)をしてしまうことを防ぐために、現在の造りになったそうです。
要するに、フォードとしての安全性を考えた結果、現在の形に収まった経緯があるようです。
それを聞くと、フォードの哲学があるようでとても関心してしまいましたが、やっぱりこのボタンは使わないなぁとも感じました(^_^;)
車内での音(エンジン音・ノイズ)・乗り心地など
アイドリング時の振動や音は、しっかり遮音されています。3気筒エンジンですが、振動も気になることはなく、何も知らなければ4気筒エンジンと思うくらいなのではないでしょうか。よく出来ています。
アイドリングストップ機能は装備されていないそうです。
加速時のエンジン音はスポーティな感じはなくて、やや高音に感じられるものだったように思います。
ただ、試乗していてエンジン音がうるさくて気になる、といった印象は全くなかったように思います。
その代わり、タイヤのロードノイズが結構耳に入ってきます。
これは間違いなくタイヤの影響が考えられますが、街乗りでは常時ロードノイズが聞こえてきて、あまり好ましくはありません。
また、かなり細かい振動まで伝えてくる印象がありました。走っているときは細かくゴロゴロしている感じでしょうか。
これもタイヤの影響と思われますが、やはりいい印象はありませんでした。
内装など
運転席や助手席に座って見える範囲の質感は中々のものです。
インパネもソフトな触り心地の素材を使っており、よく作りこんでいるのかなという印象を受けました。
が、その反面、後部座席に座った時に見える内装の全体的な印象は、前座席に座って受けた印象とは異なって、若干安っぽい印象を受けます。
それは後部座席側のドアの見た目や触り心地であったり、運転席用アームレストの質感であったり、天井?の素材などです。
アームレストやドアの辺りは、プラスチック感が強くてさすがにコストを抑えている感じが伝わってきました。
また、(内装の窓上にあるはずの)アシストグリップは、運転席も含めて全ての席に装備されていません。
後部座席の広さについては、広くはありませんが、このセグメントとしては標準的なスペースだと思います。足元の広さも標準的で、大人が座っても普通に座れる感じですね。
トランク(カーゴルーム)
トランクはそこそこの広さがあります。デミオより広く、ルーテシアと同じくらいな感じです。
トランクの下のフロアボードは2段構造になっていて、高さのあるものを収納する際には、そのフロアボードを下の段にスライドさせることで、収納エリアを広げることができます。
国産車にもありそうな装備で、利便性は高そうです。
また、フィエスタではスペアタイヤを装備していました。これもフォードとしての考え方に基づく部分があるようです。
装備など
装備は中々充実しています。クルーズコントロールであったり、Bluetoothによる音声通話機能。
ブレーキアシスト(アクティブ・シティ・ストップ)、各種エアバッグ(カーテン・サイド・ニー(膝))など、安全装備も充実しています。
ブレーキアシストなどは、日本国内での最近の需要を考えて標準装備にしたそうです。
ブレーキアシストは、カタログには15km未満では追突を防いで、15~30kmの範囲では追突ダメージを軽減、とあります。
それとバックカメラや、リバースセンサーも標準装備です。
必要そうな装備はほとんど標準で備わっているため、オプション追加の費用はほとんどかからないのではないでしょうか。
車体価格は「2,355,428円(税込)」と、やや高い印象はあるものの、充実装備を考えると中々頑張っている価格なのかも知れません。
ナビだけは装備されていないため、オプションになります。ナビはポータブルナビになるそうで、インパネを見る限り、取り付けできるところがありません(^_^;)
どこにつけるのか聞いたのですが、インパネ中央に小さい液晶(バックカメラの映像やミュージックのタイトルを表示するところ)があるのですが、その前面に取り付けるそうです。
ただ、その小さい液晶も見えるように、やや横にずらした感じで取り付けられるそうです。
欧州向けのクルマであるため、ナビを装備することに重点は置かれていないのでしょうね。
納期や生産国
フォード側もびっくりするほど、予想以上の注文があるそうで、現在の納期は8月頃だそうです。
クルマの生産はドイツのケルンで行われているそうです。
欧州では、「st」というスポーツグレードも販売されていますが、このグレードの国内導入は今のところ未定だそうです。まずは「1.0エコブースト」の状況を見てから、といった具合があるような印象を受けました。
フォード フィエスタ 1.0エコブーストまとめ
雑誌でもよく取り上げられているこのフィエスタですが、実際のところ、その加速感は予想以上のものがありました。この加速感だけみると2.0エンジンレベルといってもいいくらいです。
ただし、その力強い加速感は60km~70kmくらいまでのようで、それ以降のスピードの伸びは一気に鈍くなり、そこで初めて「1.0リッターエンジンなんだな」と感じるかも知れません。
それでも街乗りレベルであれば、非常に運転しやすく、とても快適な印象を受けました。
クルマの特性的に、日常利用に適したクルマであると感じます。
そして、何より運転が中々楽しいです。エンジンの特性もあるかも知れませんが、手応えのあるステアリングであったり、適度に伝わってくるインフォメーションなど、この辺りは中々の好印象で、運転が楽しいからちょっと寄り道、なんてのも普通にしてしまいそうです。
ホイールは4穴だし、リアブレーキはドラム式であったりと、スポーティグレードと言うよりかは、「ごく一般的な」グレードに当たるのでしょうが、それでも運転が楽しめるのは好印象です。
唯一気になるのはタイヤでしょうか。そのロードノイズやゴロゴロした感触をそのまま伝えてきたりと、印象はよくありませんでした。
フォードのフォーカスはミシュランを履いているのですが、ディーラーの人も「ミシュランの方が1枚も2枚もうわて」と話していました。
タイヤを替えるだけでも、さらに化けるクルマなのかも知れません。
フォーカスに続く、欧州フォードのフィエスタの国内での発売は喜ばしいことだと思います。
国産車とはちょっと違う、独特の雰囲気や運転の面白さを兼ね備えたフィエスタは、とても気に入りました。