2015年5月11日月曜日

ホンダ S660 α 6MT試乗レビュー

ホンダからS660が発売されました。

現在販売している、軽自動車の2シーターのオープンカーは、ダイハツコペンだけでしたが、ここにS660が加わった感じですね。

近所で試乗車が中々出てこなかったのですが、最近になってようやく入ったようなので、早速試乗してきました。
今回はホンダS660 α 6MTの試乗レビューというか、試乗感想についてまとめたいと思います。

試乗車のグレード・走行時の状況
上級グレードの「α」です。ミッションは6MTです。
天気が良かったこともあり、今回は「オープン」タイプで試乗させてもらいました。
ウィンドウはサイド・リア(中央)ともに、閉めた状態で試乗しました。

タイヤ
タイヤの銘柄はヨコハマタイヤの「ADVAN NEOVA AD08R」です。
タイヤサイズはフロントが「165/55R15 75V」、リアが「195/45R16 80W」です。
NEOVAが純正装備や、前後でタイヤサイズが違うのは珍しいように思います。
ロータスのエリーゼが同じ構成(タイヤサイズは違う)だそうです。

ブレーキ
軽自動車としては非常に珍しい、4輪ディスクブレーキを採用しています。


運転席周りなど
運転席に座ってみると、着座位置が結構低く、スポーティ感がとてもあります。その分、乗り降りはちょっと大変だったり、女性などは乗り降りに気を使ったりする場面はあるかも知れませんが、ここは仕方ないところです。

内装・デザイン
内装については、最近のホンダ車で多い気がするサイバーチックな電装系の使い方、内装というよりかは、比較的無難というか落ち着きのあるものに仕上がっているように感じられました。
好みの分かれそうな上記の内装と比べ、万人に受け入れられそうな内装なのは好印象です。
質感については、プラスチック感はあるものの、上手く隠せているいるというか、目がよくいきそうな部分はしっかり造られているように感じました。

シート
シートは程よい硬さであり、サイドサポートもしっかりしており、中々のホールド感があっていい感じでした。
それと包み込まれている印象もあってとてもいいです。

ドライビングポジション
シートは高さ調整はできず、前後調整のみです。背もたれの角度調整は可能です。
ステアリングはチルト調整のみでテレスコピック機能はありませんでした。
この辺りも2シーターという点では仕方ないのかも知れません。
足元のスペースは中々タイトな感じでした。MTでもフットレストはあるものの、「一応」あるような感じで、スペース的な余裕はあまりないように感じました。

ステアリング
ステアリングは適度な太さがある上に、径がとても小さいです。また、ステアリングの下部分が水平になっているのも特徴的で、開発陣のこだわりが感じられます。

シフトノブ
着座位置からシフトノブまでの距離ですが、肘がちょうど90度くらいになる感じでしょうか。結構近めです。
シフトノブは、握ってみると見た目と若干印象が異なって、やや「細長い」印象を受けます。握った時の触り心地などもとても良かったです。


各種フィーリング
アクセル
ペダル自体は「軽め」と「普通」の中間くらいな感じでしょうか。どちらかと言えば軽めと言えます。
アクセル操作に対する加速感は、MTということもあって、操作に対してリニアな反応を示してくれます。この辺りはMTの醍醐味とも言える部分ですし、CVTでは中々再現が難しい部分であるとも感じます。

クラッチ
クラッチペダルの重さもアクセルペダルと同じ感じです。
クラッチペダルを完全に踏み込んだ状態を「10」とした場合、「7.5」くらいからクラッチが繋がる印象です。半クラッチの範囲が広めのような印象も受け(7.5~5くらい?)、MTは久しぶりという人でもエンストなどは起こしにくそうな印象を受けました。
クラッチ操作にあまり気を使わなくても大丈夫そうでした。

シフト操作
シフトの握り心地は上述の通りですが、シフト操作による節度感やギアが入った時の感覚などもとても良く、操作することだけでも気持ちが良いというか、満足感が得られるようでした。

ブレーキ
ブレーキについては、カッチリした印象はなく、踏み始めから若干柔らかめなタッチです。
初動制動がやや強めなものの、カックンブレーキになるようなことはありません。ストローク量はごく普通な印象で、大きなストローク量でコントロールする、という感じではなく、一般的な国産車とあまり変わらない印象でした。
ブレーキ自体はしっかり効きます。

ステアリング
ステアリングの重さは「軽い」を0、「重い」を10とした場合、「6」くらいの感じでしょうか。
「重い」とは感じませんが、適度に手応えのある操作感です。
ステアリング操作に対する応答性はややクイック気味に設定されているようで、この辺りも「スポーツカー」的に仕上げているように感じられます。
ワインディングでは、結構楽しめそうなセッティングになっているように思いました。

インフォメーションは思いの外、薄く感じました。
それはステアリング、シートの両方を通じて同じ印象を受けました。
まだタイヤが新しいなども影響しているかも知れませんが、意外なほどに薄かったのは残念です。

エンジン・加速感・ミッション
エンジン
MRということで、エンジン音は後ろから聞こえてきます。
アイドリングでは、他の軽自動車と似たような、ガラガラした音が聞こえてきます。
加速した時の音についても、正直あまり良い音ではありません。
リアウインドウを開けると「エンジンサウンド等をより楽しめる」と言ったお話しを営業さんから聞いたので、リアウィンドウを開けて走ってもみましたが、やっぱりサウンド的には心地の良い音ではありませんでした。ただ、一般的な軽自動車のエンジン音とはちょっと違う感じはします。
それでも、やはり0.66Lエンジンの限界を感じます。

加速・パワー感
アクセル操作に対する加速感は上述の通りです。
ターボエンジンですが、NAのようなフラットな加速をしてくれます。また、そこそこにスムーズに吹け上がってくれる印象でした。
乗っている時のスピード感や音とは裏腹に、思いの外に速度が伸びていない印象を受けました。
加速についても、そこまでの速さは感じられず、感覚と実速のギャップが感じられました。
オープンで走っていたことも影響しているかも知れませんが、ちょっと意外なものでした。

ギア
軽自動車としては初めて?の6MTですが、最終減速比(ファイナルギア)がかなりのローギア(5.176)のため、6速60kmで走っても回転数は結構高め(2200rpmくらい)だったり、5速→6速へ変速しても、回転数があまり変わらない感じがあり、軽自動車の規制の中での6MTは、返って使い方が難しいようにも感じられました。
ファイナルギアは、シビックタイプR(FD2)で「5.062」だったので、それよりもローギアということになります。

カーブでの挙動・乗り心地
カーブでの挙動は試乗コースではあまり分からなかったものの、ロールはほとんどなく、「クイッ」という感じで曲がってくれる印象です。足回りはガッシリした感じがします。
乗り心地については、走っている時の「硬さ」のようなものはそれ程ないものの、ちょっとした凹凸などで、車体が上下に動いて、その動きが中々収束しない場面がいくつかありました。「ボヨンボヨン」といった表現が一番近いでしょうか。
この辺りは今後マイナーチェンジなどで改善はしてくるのではないでしょうか。

燃費
燃費計をリセットするのを忘れたので、前に燃費計をリセットした人からのトータルの平均燃費となりますが、燃費計表示では「15.2km」となっていました。クルマの特性と、試乗車という観点で、走行時は燃費は考えない走りが中心と思われる中でのこの数値は大したものなのではないでしょうか。

積載能力
積載性はほぼありません。試乗時も、自分のバッグは営業さんが持っていました(^_^;)
営業さんは「シートを前の方にすれば、後ろが少し空くのでそこに少しは入れられるかも」と言っていましたが、正直厳しそうでした。
ボンネットを開けると、帆を入れる部分として細長い収納がありますが、そこに帆を入れてしまうと、他には何も入らない感じです。
帆を入れなかった場合には、何が入るのでしょうか・・・水筒とかティッシュの箱を横置きでとか・・・そのくらいでしょうか(^_^;)
この「割り切り感」は凄いと思います。

納期
この日記の掲載時点で、「2016年5月以降」になるそうです。


ホンダS660まとめ
S660ですが、ホンダではビート以来の軽自動車の2シーターオープンですが、今回は「スポーツカー」を造るような強い意気込みの中で開発された感じを受けます。
MRであったり、タイヤサイズが前後で違っていたり、収納はほとんどないといった辺りでも、その本気さが感じられるように思います。

ダイハツコペンとは、2シーターオープンという枠は同じでも、クルマの方向性が両者で結構違うようにも感じられ、顧客層も異なるようにも思いました。

S660については、「軽自動車」という枠の中に納めなければいけないが故に、やりたくても出来なかったことが多そうな印象も受けます。
それはエンジンであったり、車内空間であったり、インフォメーションが妙に薄いといった辺りで感じられた部分でもあります。
ですが、軽自動車が故に、使い切るパワーであったり、車重の軽さ、機敏なハンドリングといった利点が生まれているのも事実だと思います。ワインディングなどではとても楽しいドライブができるのではないでしょうか。

この時代に、このクルマの開発にゴーサインが出たのは、とても素晴らしいと思います。
現時点では納期も1年待ちという結果も出ていることは、こういったクルマの需要は確実に存在している証拠だとも言えます。
こういった「趣味」のクルマを開発し、多くの人がそれを楽しめる価格帯で現実のものにしたホンダさんは大したものだと思います。


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